冬二子の結婚

  冬ニ子は色白のため、色の黒い冬子より、目立ちました。だから男の子には、人気がありました。みんなはどんなハンサムな男の子が、彼女のハートを射止めるか楽しみにしていました。意外や意外普通の人だったのでございます。普通にお見合いをし、見合い恋愛をして結婚しました。友達などは、どんな人を射止めるか、興味津々でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女三人いると所帯つぶす

  昔から言われたことは,女三人生まれた家は、所帯をつぶすといわれたものです。娘を嫁に出すときは、タンス三点セツト、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、下駄箱、ベツト、車、電気釜、アイロン、レンジ布団、台所用品などすぐ生活できるように娘の実家が用意をしたものです。だから三人嫁に出すとその費用は大変なものでした。所帯をつぶすといわれたのもさもありなん。反対に息子のほうは、家を準備しました。今では考えられないほどでございます。今は写真屋さんに行き,結婚衣装を着て写真に収めて、自分たちの持ち物を持ち寄り、無いものを補充します。そして先に同棲をして、二人が、うまくいかなければすぐ別れます。戸籍は傷つきません。良いか悪いかその人自身です。でも花子の子供達の時代は、昭和の時代でした。まだまだ、古い因習が残っていたのです。

 

勉強?勉強?されど勉強?

 冬二子も学も、小学生、中学生時代は、割り方成績優秀だった。小さい時成績が良いと以外と高校の時は伸び悩みする。大学受験で御多分にもれず二人とも伸び悩んだ。今なら塾があるから適切に進路相談や、目的の大学に進められたかもしれないが、冬二子の場合、秋男、冬子の下宿代、学費が重なり、国立しか選べない状況で、落ちてしまい、私立は受かったが、一年浪人の選択をせざる得なかった。再度挑戦でアルバイトをしながら学費を稼いだ。一番可哀想な境遇になった。もう少し実力があれば国立に行けたのに、お金が沢山あれば、私立に行けたのに、たまたま年齢が近いから三人一緒に学費を払うのは難しいお家事情のための犠牲でした。しかしアルバイトしながら勉強はなかなか大変でした。思うに任せず二度目も国立は落ちました。私立は去年と同じところが受かり結局、自分でアルバイトで貯めたお金で入りました.一年浪人して入るほどの所ではないけれど、仕方なく入らざる負えませんでした。この挫折感はどうしょうもありませんでした。冬子より、見栄えが冬二子のほうが良いので、お医者さんから冬二子に縁談がありました。しかし、19歳では、まだ結婚はしたくありません。学生なので遠慮しました。夏子は人の気も知らないで、姉の事をΓ冬二子はお医者さんと結婚すればいいのに」と単純に考えていました。夏子にはお医者さんの名前が好きだったのです。彼女13歳の出来事でした。夏子は姉や兄達の恋話や縁談話で、頭でっかちのおませな子供に成長しました。又運悪く、近所の姉の同級生の兄の人が、自分の学校の担任になるハプニングがあり、姉から、Γ貴女が勉強しないと恥ずかしい」と言われ勉強に興味がない夏子にとり、とてもそのことがプレツシャーになりました。夏子の小学生時代は、遊んでばかりの人生でしたので、急に姉に「夏子が成績が悪いと恥ずかしい」なんて言われて参りました。

 

 

 

 

冬二子人気者になる

 冬二子は美形ではないが、色白で小さい時から、男の子には人気がありました。よく学校放送で、当時、学と冬二子は、先生の手伝いで校内放送を担当していました。二人は、その当時勉強が出来る模範生だったから、よく刈り出されました。冬二子を慕う子は、こっそり彼女にラブレタ―を渡していました。今までにラブレタ―もらった子は、後にも先にも、山中家では冬二子だけでした。色が白い子は昔から七難隠すといわれて、変顔でもよく見えたのでございます。何故か女らしくて、男の子に後をつけられたりしました。田舎だからとても怖い思いしたものです。花子は冬二子の帰りが遅いと必ず,迎えに行きました。農作業で疲れているのにも関わらず大変でした。

秋男の決意

 秋男は今まで跡取り息子の名のもとに、家族からとても優遇されていたから失恋と言う名の試練は初めて経験のため、相当答えました。しかし、そのことで、自分自身をだれにも負けない、魅力ある人材になるよう自分磨きをしようと考えました。家庭環境は変えられません。太郎と花子の息子であるルーツも変更はできません。それなら男一匹成功しなければ、この試練は何のためなのか、俺を成長させてくれる経験を神様が与えてくれたのだと解釈して精進することにしました。花子の口癖を思い出したのです。「虎は死んで皮残す。人は死んで名を残せ」いつも母はこの諺を子供たちに事あるごとに話して聞かせていたのです。花子は頭はそんなに良い方ではないですが、子供たちには愛情を注いでくれました。お金がなくても愛情豊かな生活でした。

秋男の失恋

 大学を卒業して、新しい出発に汚点が付きましたが、長い人生の中で考えれば、大切な経験だった様です。彼女と別れて忘れるまで大分時間がかかりましたが、新しい仕事に熱中して、だんだん癒えてくるようになりました。自分の選んだ仕事に少しずつ頑張れるようになりましたから。そんな折、秋男にとってショツキングな事件が起きました。別れたミドリが、秋男の同級生の町田と恋仲になり結婚するとの事、しかも同じ田舎に住むとのこと、これは晴天の霹靂だった。町田の家は農家でなく、商家でお店をやっており、いやな小姑がいないのです。彼女はとても良い人を選んだのです。家も立派でお金もたくさんあります。やはり結婚するには、条件の良い人のほうが、問題は少ないから、とても幸せになります。

ミドリの選択

 秋男にとって、卒業しても、ミドリとは別れたくない、就職して、ミドリと交際を続けたい。正直な彼の気持ちでした。しかしミドリにとっては、友達のお兄さんでしかないのです。結婚の相手ではありません。彼女にとってただ通り過ぎていくだけどの男でしかありません。結婚となると、それは条件の良い人と結婚したい。秋男みたいに小姑が沢山いるところで、また祖父、父母がいて、農家の家に好き好んで、嫁に行きたくありません。学生時代なら、関係なく楽しんで思いで作りで良いのです。結婚の相手は、別に見つけていたのです。秋男にとって、そんな女心は知る由もありません。男の純情をミドリに捧げていました。そして大学を卒業しても、今のコロナ時代みたいに、その当時は不況で就職もままなりません。おまけにコネなどありません。ダブルパンチです。彼女には見切りつけられ、就職もできない辛い我慢の生活でした。卒業して半年ほど経たころ、近所の知人が声をかけてくれました。今は。臨時採用だけれど、そのうち空が出来れば本採用になれるからと、採用試験は合格しているのに、そんな大変な時代でした。他の人より半年遅れの出発でした。おまけにその年父の太郎の停年を迎えました。秋男22歳、冬二子20歳、学17歳、夏子14歳、まだまだお金のかかる子供たちがいて、太郎も花子も、それはそれは貧乏な生活ですが,病身の太郎以外は、元気でした。そして学は高校生なので、冬子の家に下宿していました。冬子の家は、学の養母の姉の家でした。そんな苦しい家にミドリは見切りつけて賢い子でした。秋男にとり、一番苦しい時代でした。